令和7年12月19日に公表された「令和8年度税制改正大綱」において、インボイス制度導入に伴う経過措置の大きな見直しが発表されました。
小規模事業者への負担軽減策が延長される一方で、大規模な取引を利用した租税回避には厳しく対応する内容となっています。
1. 個人事業主への朗報:「3割特例」の新設と延長
これまで、免税事業者からインボイス発行事業者になった方の負担を軽減する「2割特例」は、令和8年分(個人)で終了する予定でした。
今回の改正により、事務負担が重い個人事業主に対し、新たに**「3割特例」**が設けられ、実質的に負担軽減措置が延長されます。
改正後のイメージ(個人事業者の場合)
- ~令和8年分: 納付税額を売上税額の2割にできる(現行の2割特例)
- 令和9年・10年分: 納付税額を売上税額の3割にできる(新設:3割特例)
【注意】 この「3割特例」は、主に個人事業主を対象とした措置となる見込みです。法人については、現時点では令和8年分(2割特例)での終了が想定されており、今後の詳細な発表に注視が必要です。
2. 仕入税額控除(80%・50%控除)の段階的見直し
免税事業者からの仕入れであっても、一定割合を控除できる経過措置についても、期間の延長と割合の細分化が行われます。
改正前後のスケジュール比較
改正により、急激な負担増を避けるため、控除割合がより緩やかに、かつ段階的に引き下げられます。
| 期間 | 控除割合(改正前) | 控除割合(改正案) |
| ~令和8年9月30日 | 80% | 80%(据え置き) |
| 令和8年10月1日~ | 50% | 70%(2年延長・緩和) |
| 令和10年10月1日~ | 0% | 50% |
| 令和12年10月1日~ | 0% | 30% |
※最終的には令和13年9月末をもって経過措置は終了する方針です。
3. 租税回避への厳格な対応(10億円制限の強化)
経過措置を利用した大規模な租税回避(輸入消費税の回避など)を防ぐため、制限が厳格化されます。
- 現行: 特定の免税事業者からの仕入れ額が10億円を超える場合、超えた部分は経過措置の対象外。
- 改正後(令和8年10月~): この基準が1億円に引き下げられます。
4. 当事務所からのアドバイス
今回の改正は、特に**「個人事業主」と「免税事業者と取引のある企業」**にとって影響が大きい内容です。
- 個人事業主の方へ:令和9年以降も「3割特例」が使えることで、簡易課税制度への移行を急ぐ必要がなくなるケースが出てきます。
- 法人・課税事業者の方へ:令和8年10月に50%へ下がるはずだった控除が70%に維持されるため、仕入コストの急増は一時的に抑えられます。
当事務所では、貴社の取引状況に合わせた最適な納税シミュレーションを実施しております。インボイス対応の継続的な相談は、ぜひ当事務所までお寄せください。


