【重要】賃上げ促進税制の見直し・廃止について(令和8年度税制改正大綱)

令和7年12月19日に公表された「令和8年度税制改正大綱」において、これまで企業の賃上げを後押ししてきた**「賃上げ促進税制」の抜本的な見直しと、一部廃止**が盛り込まれました。

近年の高水準な賃上げの定着や、コーポレートガバナンス改革の進展を受け、税制によるインセンティブとしての役割が節目を迎えたものと考えられます。


1. 改正の全体像とスケジュール

今回の改正で最も大きなポイントは、**「全法人向け措置の早期廃止」**です。

  • 全法人(大企業等)向け措置適用期限を待たず、令和8年3月31日をもって廃止されます。令和8年4月1日以後開始事業年度からは、本税制の適用は受けられません。
  • 中堅企業・中小企業向け措置令和9年3月31日の期限をもって廃止、または内容の厳格化が予定されています。

2. 中堅企業・中小企業における要件の見直し(令和8年4月1日~)

令和8年度(2026年度)において、継続して適用を受けるための要件が以下の通り厳しくなります。

■ 中堅企業(特定法人)向け:要件の引き上げ

物価上昇を上回る賃上げを促すため、ハードルが引き上げられます。

項目現行制度改正案(令和8年4月~)
適用要件継続雇用者給与の増加率 3%以上継続雇用者給与の増加率 4%以上
上乗せ控除(1)増加率4%以上で税額控除率+15%増加率5%以上で税額控除率+5%
上乗せ控除(2)増加率6%以上で税額控除率+15%
教育訓練費上乗せ増加率10%以上等の場合+5%廃止

■ 中小企業者等向け:教育訓練費上乗せの廃止

中小企業については、防衛的な賃上げに配慮しベースの制度は維持されますが、一部の上乗せ措置が廃止されます。

項目現行制度改正案(令和8年4月~)
教育訓練費上乗せ増加率5%以上等の場合+10%廃止

3. 改正の背景と実務への影響

なぜ廃止・見直しされるのか?

  1. 賃上げの常態化: 令和7年の調査で賃金改定率が4.4%に達するなど、税制による支援がなくても高い水準の賃上げが行われるようになっています。
  2. インセンティブ効果の低下: 企業の賃上げ理由の多くが「従業員の離職防止」となっており、減税が主目的ではなくなっているという指摘があります。
  3. 会計検査院の指摘: 教育訓練費の上乗せ措置について、実態と控除額の計算に乖離があるとして、効果の検証と見直しを求められていました。

実務上の注意点

令和8年4月以降に開始する決算期からは、これまで通り給与を増やしても、「教育訓練費による上乗せ」が使えなくなる点に注意が必要です。また、中堅企業においては増加率4%を維持しなければ控除そのものを受けられなくなります。


当事務所からのメッセージ

「賃上げ促進税制」は、令和9年春の期限到来時にさらなる見直しが検討される予定です。これまで本税制を活用して法人税額を抑えていた企業様は、今後の納税シミュレーションを再考する必要があります。

経営計画や次年度の賃金設計について、ご不安な点や具体的な税額への影響を知りたい方は、お気軽に当事務所までお問い合わせください。

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