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2024年7月19日(金)

  あと百万円払えば免除される条件づきの相続債務十億円の債務控除は可能か?
  (令04年4月13日 非公開裁決 棄却)

  請求人らは、承継債務のうち相続開始後に銀行から支払義務を免除された債務
 (本件債務、9億7370万円)につき、その債務免除益が一時所得として所得
 税等の更正処分を受けたことを前提に、本件債務は相続税法第14条第1項に規
 定する「確実と認められるもの」に該当するとして審査請求をしました。
  審判所では、次のとおり判断し、本件債務は「確実と認められるもの」には該
 当しないから、債務控除の対象とはならないとしました。なお、所得税等の更正
 処分は、東京高裁(Z888-2622)で、その全部が取り消されています。

  「確実と認められるもの」とは、相続開始の時において、債務の存在が確実と
 認められるのみでは足りず、債権者による請求等により、債務者につきその債務
 の履行が義務付けられている債務であることが必要であり、その金額は、その時
 の客観的経済価値によって評価すると解すべきである。
  被相続人は、和解条項に従って原債務を履行し、相続の開始の時において、支
 払条件により本件債務が免除されるために履行が必要となる残高は合計100万
 円であったこと、現に、請求人らが支払条件に従った履行をし、銀行により本件
 債務が免除されたこと等に照らして、相続の開始の時の現況により控除すべき債
 務の金額の客観的経済価値を評価すれば、100万円と認められるから、本件債
 務は、債権者である銀行の請求等により、債務者である被相続人につき債務の履
 行が義務付けられている債務であると認めることはできない。

2024年7月18日(木)

事業廃止後も小規模企業共済金を掛け続けた共済金等は本来の相続財産に!
 (令4年11月18日 千葉地裁 棄却・確定)

  被相続人丙は、個人事業者であった昭和58年12月に小規模企業共済契約を
 締結し、その後平成19年3月30日に事業を廃止したものの、共済掛金は丙が
 死亡した平成27年3月×日を過ぎた平成27年12月まで丙名義の預金口座か
 ら引き落とされていました。相続人は、平成30年9月26日に機構に対して共
 済金の請求事由を「個人事業の廃止」、請求事由発生日を「平成19年3月30
 日」とし、受給権者亡丙の権利義務を相続することになったとして、本件共済契
 約に係る共済金及び本件過納掛金の支払を請求しました。この共済金返還請求権
 及び過納掛金の返還請求権は相続財産ではないとして相続税の修正申告をしまし
 たが、処分行政庁から、上記各請求権は亡丙の相続財産であるとして、それぞれ
 更正等の賦課決定を受けたことから、その取消しを求める事案です
  裁判所は次のように判示し、原告の主張を棄却しました。

  原告らは、本件共済金は亡丙に係る退職手当金等としての性質を有するところ、
 本件共済金の支払決定日は相続の開始日である平成27年3月×日の3年経過後
 の平成30年10月19日であり、本件共済金は、亡丙の死亡後3年以内に支給
 が確定したものでないから、みなし相続財産でないと主張する。しかし、相続税
 が課されたのは、本件共済金請求権であって本件共済金でない。本件共済金請求
 権は、相続税法3条に規定するみなし相続財産として相続税が課されたものでな
 く、同法2条に規定する本来の相続財産として相続税が課されたものである。

2024年6月25日(火)

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