海外法人向けソフトウェア開発と消費税の取扱い

輸出免税の対象となる取引の考え方

海外法人からソフトウェア開発を受託している事業者の中には、
「日本で開発しているのだから消費税は課税されるのではないか」
と不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

結論から言うと、日本国内で開発したソフトウェアであっても、一定の要件を満たせば消費税は「輸出免税」の対象となります。
本コラムでは、その判断の考え方を整理します。

結論:日本で開発しても輸出免税になる

日本国内で開発したソフトウェアであっても、
一定の要件を満たせば消費税は「輸出免税」となります。

重要な判断ポイントは、次の3点です。

  • 誰に提供しているか(非居住者=海外法人か)
  • どこで使用・消費されるか(日本国外か)
  • 取引の性質が「電気通信利用役務の提供」に該当しないか

この3点を正しく整理することが、消費税判断の出発点になります。

前提整理:国内取引になるが、免税されうる

海外法人(非居住者)からソフトウェア開発を受託し、
開発作業を日本国内で行った場合、その取引は原則として次のように整理されます。

  • 原則
     → 国内取引
     → 本来は日本の消費税の課税対象

ただし、次の要件を満たす場合には例外があります。

  • 提供先が 非居住者(海外法人) であり
  • 開発したソフトウェアを 日本国外で使用・消費する 場合

この場合、当該取引は 消費税の「輸出免税」対象 となり得ます。

「電気通信利用役務の提供」との違いが重要

電気通信利用役務の提供とは
「電気通信利用役務の提供」とは、
デジタル配信やクラウド利用そのものを提供する取引を指します。
代表的な例としては、次のようなものがあります。
・電子書籍・音楽・映像・アプリの配信
・クラウドソフトの利用提供(SaaS)
・インターネット広告配信
・オンライン予約サイト、ECプラットフォームの利用料
・インターネット英会話 など
これらは、課税関係が特殊な取引です。

受託開発は「電気通信利用役務」に該当しない
一方、次のような取引は電気通信利用役務の提供には該当しません。
・ソフトウェアの制作・開発そのもの
・著作物の制作を受託し、指示や納品をインターネット経由で行っているだけのケース
これらの取引では、
本質は「開発成果物の引渡し」であり、
インターネットは単なる手段

と考えられます。
そのため、
・海外法人からのソフトウェア受託開発
 = 電気通信利用役務ではない
 = 通常の役務提供として「輸出免税」の判断を行う
という整理になります。

輸出免税が認められる代表的なソフト開発例

ソフトの種類取引例消費税の考え方
業務管理ソフト海外企業向け勤怠・在庫・顧客管理システム海外使用なら輸出免税
ゲームソフト海外ゲーム会社向けプログラム開発海外ユーザー向けなら輸出免税
金融・FinTech系海外証券会社向け分析ツール利用環境が海外限定なら免税可
Webアプリ海外法人向け予約管理・ECシステム利用者・利用場所次第

【注意点】
日本国内ユーザー向けサービスとして利用される場合は、
委託元が海外法人であっても 課税取引 になる可能性があります。

輸出免税の判断ポイント(実務上ここが重要)

海輸出免税の可否は、次の要件を総合的に確認します。

① 相手先が非居住者であること

  • 契約書上の法人所在地
  • 登記情報・会社情報

② 使用・消費場所が日本国外であること

  • 海外法人の社内利用
  • 海外ユーザー向け提供
  • サーバー所在地ではなく
     「誰がどこで使うか」 が重要

③ 契約・書類で証明できること

実務上、最も重要なポイントです。

必ず整備しておきたい証拠書類

輸出免税として処理するため、次の書類は必須レベルです。

  • 開発契約書
     - 相手先(海外法人)
     - 納品形態
     - 使用場所(日本国外)
     - 著作権の帰属・成果物の内容
  • 請求書
  • 検収書・納品完了の記録
  • 入金記録
     - 円建てでも問題ありません

(可能であれば)

  • 納品メール
  • クラウド納品ログ
  • プロジェクト資料

👉 無形物(ソフトウェア)のため、通関書類は不要
👉 クラウド納品でも、契約・検収が整っていれば免税可

よくある誤解

  • ❌ 日本で開発したから課税
  • ❌ 円建て入金だから課税
  • ❌ データ納品だから電気通信利用役務

👉 いずれも誤りです。

判断基準は常に、
「誰に」「どこで使うために」提供しているか
にあります。

まとめ

日本国内で開発したソフトウェアであっても、
海外法人から受託して日本で開発したソフトウェアであっても、
その成果物を 海外で使用・消費する前提 で提供している場合には、
消費税の輸出免税の対象となります。

重要なのは、

  • 電気通信利用役務ではなく「受託開発」であることを整理すること
  • 契約書・検収書などの証拠書類を適切に整備しておくこと

です。

海外向けIT・ソフトウェア開発を行う事業者にとって、
消費税の取扱いは資金繰りにも直結する重要な論点です。
不明点がある場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。

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